生命の樹の手書きメモを発掘したので掲載

 お久しぶりです。書いてはいるマスダです。
 最近セフィロスさんの夢を見たのでちょっとカバラーのセフィロート体系についてまた考えを巡らしており、以前に作ってあった生命の樹に関する手書きメモを発掘したのでここに掲載しておきます。

生命の樹とは

 カバラーはユダヤ教から発生した神秘主義思想のひとつですが、セフィロスさんの名前のもとであるセフィロート体系が、カバラーの中ではかなり重要なものになります。カバラーの重要文献のひとつであり中世には魔術書としても用いられていた『形成の書』によれば、世界は32本の知恵の道でできたとされていて、32の知恵の道とは、22のヘブライ文字と10のセフィロート(この時点では1~10までの数字を意味すると考えられている)のことです。
 セフィロート(SePhiRot)の語源は諸説ありますが、おそらく「数える」(miSPaR)と関係があるのではないかとされていて、文字や数字が世界を構成する要素であり、世界の秘密を秘めているという考え方が根底にあるわけです。これはピタゴラスの思想なんかにも通じるものがあると思いますが、確かに物理学によれば自然法則というものは数式で描写できるわけですね。だから世界は数の法則に従っているとも云えるわけです。カバラーの根底には、神の隠された意図を探るという動機が眠っており、それを通じてよりよいあり方を、世界の仕組みを知ろうという、まあこれはちょっと一般化が過ぎるが、だいたいそのような動機が眠っているのですが、それを現代に置きかえれば、物理法則を探求し、この世の仕組みを解明することと同義なわけです。ずいぶん見た目は違って見えますが、己を知り世界を知ろうとすることに熱心である点においては、人間は古代からなにも変わってはいません。

 話がそれたが、生命の樹とは、この10のセフィロートを神の構成要素、神の本質ととらえ、それを図式化したものですが、だいたい十四世紀ごろから描かれるようになったようです。こんなのなんか、セフィロスさん好きにはとても心に響くのではないですか。1617年出版の、ロバート・フラッド『両宇宙誌 第二巻』に掲載されている生命の樹の図です。ウィキから転載します。

Tree of Life Fludd.jpg
By Robert Fludd – Deutsche Fotothek, Public Domain, Link

 生命の樹は、神の内部構造を示すと同時に、根源である神からの創造の光ないしエネルギーの流出を示し、世界の創造をあらわしています。流出ですから、下から上にではなく、上から下に向かって伸びていく、進んでいくわけです。だからこの図では一番上のセフィラー(セフィロートの単数形、セフィロートのひとつずつの要素はセフィラーといいます)「王冠」に根が生え、一番下のセフィラー「臨在」に葉が茂っているわけです。最初のセフィラー「王冠」はもっとも神に近く、神に根を張っている。そこから徐々に神のエネルギーが展開し下へ降りていき、最後の「臨在」は地上にもっとも近い世界です。この図には、ほかにもいろんな象徴が組みこまれているのですが、たとえば「臨在」は女性の世界で、その上は男性の世界とされている。「臨在」は神の女陰であり、そのひとつ上の「根幹」は神のエネルギーが地上に向かって集約されるところ、神の男根です。事物の創造を生殖にたとえることは、象徴体系の一般的な方法であって、特に珍しいことではない。神は両性具有であり、女性的要素と男性的要素が結合し調和するところに、完全な存在が誕生し、それは個々の人間の内面においても同様です。われわれの大きな目標のひとつは、自己のうちにある男性要素と女性要素を調和させることであるといっても過言ではない。まずは自己の調和を、それから世界の調和を。これは人間精神の義務であるとわたしは思います。

 というようなことをふまえつつ、まあこれはわたしの汚い自分用メモなので、読みにくいのですが、なにかの際の足しにでもしてください。