あとがきのようなもの

 

 これは試験作です。ひとまず、本編の最後のあたり、大空洞に降りていく前のことを書いてみた。
 クラウドは、わたし個人の完全なる趣味だけども、セフィロスのことを殺すとか自分が死ぬとか、そういうことにすごく興奮しているといい。興奮しながら、冷めている。愛憎と、悲劇の中。それで感じる恍惚。彼のすべては、たぶんセフィロスで動くわけです。あとはどうでもいい。クラウドの存在理由。セフィロスのしたいこと。そういうものを、わたしの中であーだこーだ考えているんだけれども、それはそのうちちゃんと文章にしてあらわそうと思っています。
 いろいろ考えていった結果、本編すべてを貫くものは、こういうたぐいの、ものすごい情念なんだけれども……セフィクラを前提としていてもいなくても。それを、書きたいなあと思っているのだけれど。そこにセフィクラフィルターがかかると、なんかものすごいことになるわけで、そんな情念を、作家でもないくせに表現できるのだろうかとか、ほんとにこれは悲劇ばっか書いてたころのシェイクスピアばりのものがないと、書けないぞ、きっと。思うようには。だからわたしは焦っていて、そしてやってみたくて、もがいているわけです。感情や情念や愛憎や、すべての内面的な現象は、ことばにならない。できない。しようがない。だから、ことばにするための努力を、続けなければならない。なぜなら、内面的な活動が人間の本質であり、そして表現の役割は、それを目に見える形にすることだから。ときには雄弁に、ときには、沈黙でもって。
 この大空洞前の一夜は、すごい時間だと思うのです。このときのクラウドはきっともう普通に「完全に自分」のクラウドとしてティファといるんだけど、わたしはこの「完全に自分」のクラウドが、それを他人にたいして見せていたのかどうかおそろしく疑っているから、ほんとうのクラウドはほんとうは誰も知らないかもしれないということに、背筋ぞわっとするくらいすごいものを感じるから、この時間が、わたしの中のクラウドの原点な気がする。ずっとひとりで抱えて、セフィロスの前で吐き出す。目の前にあるもの。目の前にいるひと。そういうものは、ほんとはどうだっていい。
 いつかもっと、くわしく書きます。実力が、そこまでいったなら。まだです。まだ熟しません。だからこれは、プロトタイプです。根幹の部分を、小さく作品としてまとめてみるというかたちで、出しました。ほんとうに書こうと思ったら、もっとずっと長くなると思います。それは今度。そう遠くないうちに。
 試作品なんぞ読ませてしまってすみませんでした。。。

 

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