まえがき……おもに二次創作特有の諸問題を片づけるために書かれた
暦は巡りて、もう年末です。早いものです。うちのそばのお宅では、サンタクロースが壁によじ登り、あるいは電球がちりばめられたトナカイが首を振り、教会の木は電球をぺかぺかやっています。見ていると楽しいです。そして楽しいことは、なんでもお腹にいいとムーミンママが云っていました。わたしもそう思います。
楽しくて、陽気な気持ちにさせてくれるものは、どんなものでもすばらしいものです。現実ってなかなかそうはいかないけれど、せめてクリスマスのこの楽しい時期くらい、そういうもので満たされているといいなあという願望から、わたしはこれを書きました。
お話はもうできあがっています。ですから、いつでも好きなときに、まあそれでさしつかえないのなら、好きなところから読みはじめることができます。とはいえ、話がはじまっても肝心な話はなかなかはじまらないのです。というのも、この世界では移動にそこそこ時間がかかるし、それにセフィロスさんとザックスさんとクラウドさんの三人が集まったらよけいなことがたくさん起こるし、そのよけいなことが、二次創作に宿命的に課せられた役割だったりするからです。だから事前に、「あんまり普通の小説を読むように読んではいけません」の立て札をかけておくために、まえがきが必要なわけです。そうしないと、誠実なひとが腹を立ててしまうでしょうから。そういうものに特にこだわりのあるひとは、まえがきその2へお進みください。
それから、二次創作には原作があります。原作がある以上、譲れない設定があるという方は、「この話に限っての設定資料」に目を通してみてください。そうして、受け入れられるかどうかのご判断をお願いします。
最後に。このお話は、これに先立つたくさんの偉大な冒険小説、探偵小説、児童文学、それにユーモア小説がなかったら、きっと生まれていませんでした。こうしたものはわたしたちを楽しませ、日常生活でこんがらがった脳みそを適度にほぐしてくれます。あるいはまた、わたしたちを鼓舞し、前に進む勇気と、寛大な精神をはぐくんでくれもします。これはほんとに大事なことです。見せかけだけの、表面をなでているだけの感動じゃなくて、魂の底の底まで響くような、力のある作品であること。でも、肩の力を抜いて、寝転がって鼻なんかほじくりながら読めること。このふたつが調和する地点に、いわゆるエンターテインメント作品の、ひとつの頂が見えるように思います。
それではセフィロスさんとクラウドさんとザックスさんのクリスマスの冒険劇を、ちょっと覗いてみることにしましょう。眼精疲労には注意してくださいね! くれぐれもよろしく。